ポリスマンとエンジェル
2007.11.21(23:05)
あれは僕がまだ二十歳の頃の話です。ニュージーランドのオークランドで半年ばかりホームステイをしながら英語の勉強をしていたことがあります。ニュージーランドに着いてまもない頃。退屈してオークランドの街中まで行って本屋にでも行こうと思い立ち、ひとりで外出しました。
当時住んでいたのはオークランド郊外で、街中に入るには大きな橋を渡る必要がありました。多分日本で言えば東京のレインボー・ブリッジか横浜のベイ・ブリッジのような長い橋です。
それにしても、僕のほかにほとんど歩いている人はいなくて、なんとなく不安になってきました。この調子だと街中に着くまでに後一時間はかかるかな、と思いながら橋をゆっくり渡っていると、後ろからポリス・カーがゆっくり近づいてきて、サングラスをかけたポリスマンに声をかけられました。
"What are you doing?"(何してるの?)
"I'd like to go to the city." (街に行きたいんです)
"Get in!"(乗りなさい!)
親切なポリスマンが街まで送ってくれるというので、ありがたくポリス・カーに乗せてもらいました。その時まで気がつかなかったのですが、この橋はハイウェイなので歩行者は渡れないのでした。日本のように高速の料金所などがないので、まったく気がつかず橋の真ん中まで歩いてきてしまったのです。
日本から来たばかりであること、東京は電車や地下鉄が整備されているので車に乗らなくても不自由しないことなど、ポリスマンとあれこれ世間話をしているうちに街が見えてきました。
街のメイン・ストリートで降ろしてもらい、ようやくたどり着いたオークランドのダウンタウンでしたが… すでに夕方5時を回っていて、街中のほとんどの店が閉店した後でした。せっかく苦労してここまでたどり着いたのに、なんということでしょう。
ようやく一軒だけ開いていたマクドナルドを見つけて、ビッグマックを食べ、さて帰ろうとすると、よく考えたら帰りはどうすればいいのか判らないのでした。一応バス乗り場まで行って、色んなバス停の案内を見ても、不親切で何にも判りません。ステイ先の連絡先も何も持っていなかったし、タクシーに乗る現金もなかったのです。
途方にくれることしばし。どこからともなく長身でブロンドのきれいな白人女性が現れ、僕に話しかけてくれました。
「バスを探してるんですか? 英語はだめ?」
驚くほど完璧できれいな日本語! 事情を簡単に説明すると、バス停に並んでいる現地の人にどのバスに乗ればいいか聞いてくれて、僕をバス停まで連れて行ってくれました。きちんとお礼を言う間もなく、その人はまた街角に消えてゆきました。
当時の僕はまだ日常会話がやっとという程度だったし、ニュージーランド人はなまりが非常に強い英語を話すので、コミュニケーションがとれず苦労しました。色んな国に行ったけれど、ニュージーランドはどうしてもなじめなくて、良い思い出がほとんどない珍しい国でした。そんな中であの親切なポリスマンと日本語の上手な女性の存在は本当に嬉しく感じました。
ポリスマンはともかく、あの女性は今考えると間違いなくエンジェルですね。
↓やった!
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